山田将平の「新劇立志伝」

都内で俳優をやっている山田将平です。主に舞台、映画、読書の感想を書いています。もし宜しければご覧ください。

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2016-01-01から1年間の記事一覧

中丸美繪「杉村春子 女優として、女として」を読んで

看板女優。 でも結局、一人の人間であり、一人の女だと思った。 それは、俳優座の千田是也氏の自伝を読んだ時と同様の感想だった。 中丸美繪 著「杉村春子 女優として、女として」を読了した。 文学座の代表的女優・杉村春子氏の評伝。 誕生から晩年までを描…

斎藤憐「劇作は愉し」を読んで

俳優学校にいたころ、悪童どもと六本木で飲んで劇団に戻ったら、夜の十一時、千田是也が稽古場にいた。 夜の十一時を過ぎて「コーカサスの白墨の輪」の五十を超えるお面をたった一人で作っていて、酔いもさめた。 斎藤憐 作「劇作は愉し」を読了した。 斎藤…

映画「チ・ン・ピ・ラ」を観て

コワい人は、なぜ白い背広が好きなのだろう。 絶対、ナポリタンなんか喰ったら、真っ赤にしてしまう。 汚したら落ちないし、悪いことずくめ。 格好いいのか? 私は着るなら、地味な背広。 灰色とか紺とか汚れが目立たない渋いヤツ。 だけど、こいつらはチャ…

映画「野良犬」を観て

奪われた拳銃。 探し求める刑事。 黒澤明監督、映画「野良犬」を観た。 拳銃をスられた新米刑事がピストル屋(拳銃の密売人)を探す。 しかし、その拳銃は他の人間の手に渡る。 次々と犯罪が起きる。 犯人を探しながら、自分が盗まれたそとの責任に悩まされ…

鴻上尚史「演技と演出のレッスン」を読んで

「結果を演じてはいけないよ。」 「状態を演じるんじゃない!!」 この二つの言葉が同じことを言っているのを理解していなかった。 両方とも研究所にいた頃、教わった言葉。 (後者は「そんな演技だから、彼女が出来ないのよ!!」と言った某女性教師の言葉…

倉林誠一郎「劇団は生きている」を読んで

「湯浅さん、ソ連(現在のロシア)にこどもの芝居のよい作品がないでしょうか」と聞いた。 そうすると即座に「あるよ」と返事が返ってきた。「『十二月』っていうんだ」と言う。 後日、翻訳原稿ができた。さすがに傑れた作品だが、題がよくない。湯浅さんと…

ゴードン・フォレル「現代戯曲の設計」を読んで

台本を書きたい。 その想いでこの本を手に取った。 ゴードン・フォレル著「現代戯曲の設計」を読了した。 戯曲とは舞台用の台本のことである。 正確に言うと私は戯曲を書きたい。 研究所に入るまで、今の人が書いたのは現代劇。 シェイクスピアもモリエール…

映画「Ray」を観て

「施しでなく自分の足で立つ。」 米国のジャズ歌手、レイ・チャールズ。 七歳にして、光を失う。 売れない時代、手にしたヘロイン。 そのヘロインが人生を狂わせる。 映画「Ray」を観た。 彼の半生を綴った映画。 何よりも音楽が大好きな盲目の少年。 南部ジ…

千田是也「もうひとつの新劇史」を読んで

やっと読み終わった。 俳優座研究生の頃からチョクチョク読んでいた千田是也先生の自伝「もうひとつの新劇史」を読了した。 日本演劇界の神様のような存在。 劇団俳優座の創設者。 スタニスラフスキーシステム(日本演劇の基礎といえるシステム)やベルトル…

「父・吉田謙吉と昭和モダン」を読んで

ドラの音が築地の街を響き渡る。 新劇の歴史が始まった場所、築地小劇場。 日本初の新劇の為の常設劇場。 そもそも、新劇とは何か? 旧劇と新劇の二つの言葉がある。 旧劇とは歌舞伎のこと。 対して新劇とはザックリ言うと、明治時代に輸入された西洋の演劇…