山田将平の「新劇立志伝」

都内で俳優をやっている山田将平です。主に舞台、映画、読書の感想を書いています。もし宜しければご覧ください。

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2018-01-01から1年間の記事一覧

獅子文六「断髪女中」を読んで

まるで、本当の家族のように。 獅子文六 作 「断髪女中」を読んだ。 「悦っちゃん」でボロボロ泣いてから、獅子文六ファンになって、思わず読んだ獅子文六の短編集。 そのモダンガール編。 この中の一編「竹とマロニエ」 若い頃に女中奉公をしていたお竹婆さ…

フランソワーズ・サガン 「悲しみよ こんにちは」を読んで

わたしは今でも思い出す。 息を切らしながらの不器用なあのキスの味を。 フランソワーズ・サガン 作「悲しみよ こんにちは」を読んだ。 遊び人の父親レイモンと南仏にバカンスに来ている17歳の少女セシル。 レイモンはこのバカンスに、自分のガールフレンド…

デュマ・フィス「椿姫」を読んで

名家の息子アルマンはパリですれ違ったマルグリットという女性に一目惚れした。 しかし、彼女は高級娼婦だった。 デュマ・フィス 作「椿姫」を読んだ。 年寄りの資産家の愛人として、日本円にして1億円ほどの年収を稼いでいたマルグリット。 それに比べて800…

北野武「全思考」を読んで

そうか。たけしさんは時代的に状況劇場や天井桟敷と知り合っているんだ。 北野武 著「全思考」を読んだ。 日本を代表するお笑い芸人。 ビートたけし、本名北野武によるエッセイ。 様々な問題に対して本音で語る。 お笑い芸人になった経緯。 母親の敷かれたレ…

永井荷風「濹東綺譚」を読んで

お雪はうみつかれたわたくしの心に、偶然過去の世のなつかしい幻影を彷彿たらしめたミューズである。 雨の日の夜。 街を歩いていると、一人の女が傘の中に入ってくる。 永井荷風 作 「濹東綺譚」を読んだ。 偶然傘に入ってきた女。 玉の井、つまり色街の女だ…

ビートたけし「下世話の作法」を読んで

「全部他人や社会のせいにする。『俺が悪い』と言えないのは、精神的に貧乏なんだ。」 グサッと心の奥に突き刺さる。 ビートたけし 著「下世話の作法」を読んだ。 たけしさんが考える、品や粋とは何なのか? 芸人に必要な作法や芸とは何なのか? たけしさん…

萩本欽一「人生が楽しくなる気持ちのいい日本語」を読んで

「ボクはいい会話でいい買い物ができて、最高に気持ちよかった。」 この気持ちすっごく分かる。 最近、仕事でもプライベートでも買い物するとき、店員さんとの会話を楽しんでいる。 その時に最近、店員さんから 「ホントはダメなんですけど、特別ですよ。」 …

マツコ・デラックス「続・世迷いごと」を読んで

「自然体であることがリアルな演技という論調は、ホントに大っ嫌い!自然な女優なんかいないわよ。みんな、おかしいから女優になっているんだから。」 自然なことへの縛りが解けてきた。 マツコ・デラックス 著「続・世迷いごと」を読んだ。 俳優、女優、タ…

コロッケ『母さんの「あおいくま」』を読んで

「あおいくま、あおいくま」 最近、この言葉を事あるごとにつぶやいている。 コロッケ 著『母さんの「あおいくま」』を読んだ。 もう間もなくで芸能生活、四十年。 ものまね四天王の一人、コロッケさんの自伝。 「あおいくま」とは何か? 「あせるな、おこる…

松岡和子「深読みシェイクスピア」を読んで

松岡さんって、円の出身だったんだ。 この本を読むまで知らなかった。 松岡和子 著「深読みシェイクスピア」を読んだ。 世界的な劇作家シェイクスピア。 そして、そのシェイクスピアを翻訳家している日本を代表する翻訳家、松岡和子さんのインタビュー本。 …

マツコ・デラックス「世迷いごと」を読んで

「女優の演技の上手い下手は関係ないの。生き様よ。その人の生き様が出ちゃうの。」 エッセイというのか、意見書というのか、不思議な本だ。 マツコ・デラックス著「世迷いごと」を読んだ。 広末涼子から始まり、福原愛といった女優、アナウンサー、モデル、…

北野武「超思考」を読んで

芸人なんて最低の職業なのだ。 最低の職業だからこそ、芸を磨いて腹の底で世の中を嗤い飛ばしていた。 それが芸人の誇り。 北野武 著「超思考」を読んだ。 芸人、俳優、映画監督など多方面に活躍する武さん。 そんな、武さんの言葉には物事の本質が書いてあ…

茨木のり子「うたの心に生きた人々」を読んで

一日もはやく私は結婚したいのです 結婚さえすれば 私は人一倍生きていたくなるでしょう これ、私の本音ですけど、私の言葉じゃありません。 茨木のり子 著「うたの心に生きた人々」を読んだ。 茨木さんの詩について、研究生時代に恩師から詩をもらった。 私…

野崎幸助「紀州のドンファン」を読んで

いい女を抱くためだけに、私は大金持ちになった。 街を歩いていたら、「伝説のドンファン」と書かれたTシャツを着たおじいさんとすれ違った。 それから、数時間後本屋を歩いていたら、この本に巡り会った。 これは、運命だ!? 思わず手に取った。 野崎幸助 …

花森安治「風俗時評」を読んで

大した過ちをしないということは、踏み出さないということではないかと思います。 果たして、私の過ちは大した過ちだったのだろうか? 花森安治 著「風俗時評」を読んだ。 トト姉ちゃんでおなじみの暮しの手帖。 その暮しの手帖の初代編集長。 自由な服装を…

萩本欽一「なんでそーなるの!萩本欽一自伝」を読んで

「はっきり言ってお前はコメディアンに向かないと思う。」 そっか、欽ちゃんもオレと同じこと言われてたんだ。 萩本欽一 著「なんでそーなるの!萩本欽一自伝」を読んだ。 日本を代表するコメディアン。 萩本欽一さんの自伝。 22歳。東洋劇場という劇場でコ…

リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」を読んで

家に帰るとエロ本が机の上に積み上げられていた。 十九の頃。実家を巣立つ前日。 私の部屋の掃除をしたオカンの仕業だ。 「大事にしまってあったから、忘れないように全部出しといたわよ」 顔が真っ赤になった。 リリー・フランキー著「東京タワー オカンと…

松浦弥太郎 「おいしいおにぎりが作れるならば。」を読んで

失敗とは、勇気の現れであり、チャレンジをした証である。 松浦弥太郎 著、「おいしいおにぎりが作れるならば。」を読んだ。 「暮らしの手帖」の前編集長のエッセイ。 私は松浦さんの書く、人や物への考え方が好きだ。 自然なふんわりとして、温かみのある考…

リリー・フランキー「エコラム」を読んで

最近、真面目に生きているのがバカバカしくなる時がある。 ホントは真面目じゃないのに真面目ぶって。 ホントは上品じゃないのに上品ぶって。 モヤモヤする。 そんな時に、この本を読んだ。 リリー・フランキー 著「エコラム」を読んだ。 リリーさんが雑誌ポ…

リリー・フランキー「女子の生きざま」を読んで

パルムドールすげえ!! カンヌに行きたい。 リリーさんみたいになりたい。 そんな想いで読み始めた。 そしたら、マンガでもないのに、なぜか、そんな感じで笑っちゃう。 不思議な本だった。 リリー・フランキー 著「女子の生きざま」を読んだ。 ザックリ言…

浅利慶太「時の光の中で」を読んで

戦前。ガニ股を治すために、銀座一丁目から八丁目までハイヒールを履いて歩き回った男がいたと言う。 浅利慶太 著「時の光の中で」を読んだ。 日本で最も売れているであろう劇団、劇団四季の元主宰者。 その浅利さんが歩んできた軌跡。 28歳。私も今年同じ年…

扇田昭彦「日本の現代演劇」を読んで

自分の劇場とテントを手に入れる。 それが今の私の夢である。 その夢を実現するには、どうすれば良いのか? 扇田昭彦 著「日本の現代演劇」を読んだ。 60年代から90年代の演劇の歴史。 新劇と呼ばれる大きな演劇組織に対抗して生まれたアングラ、小劇場演劇…

齋藤孝「齋藤孝の聞く力」を読んで

青汁、納豆、生卵。 この単語で同期(27期)は誰の話をしたいのか、分かるだろう。 齋藤孝 著、「齋藤孝の聞く力」を読んだ。 一回目の研究生時代。 上裸になって、肉体訓練をする授業があった(女性はレオタード)。 当時、今よりも更に貧しくて塩むすびし…

阿川佐和子「聞く力」を読んで

こないだ、テレビを観ていたら阿川さんが、おしゃれイズムに出演していた。 えっ、このタイミング!! 丁度、この本を読んでいるタイミングで驚いた。 何かの運命じゃなかろうか。 阿川佐和子著、「聞く力」を読んだ。 サワコの部屋でおなじみの、あの阿川佐…

映画「ジャッキー〜ファーストレディ最後の使命〜」を観て

あの銃弾が彼女の人生を変えてしまった。 昨日、映画「ジャッキー〜ファーストレディ最後の使命〜」を観賞した。 アメリカ第35代大統領、ジョン・F・ケネディの妻ジャッキー。 ケネディは彼女の隣で暗殺された。 もっと偉大な大統領になるはずだった。 同じ…

コロッケ「マネる技術」を読んで

「ねえ、しょうちゃん、卍って知ってる?」 決して寺のことではない。 昨今の若者言葉で「マジ」を意味するらしい。 (これはウソ。先程二十歳のお姉様からご指摘頂き、「ヤバイ」とか「輩」を意味するらしい。うん。恥ずかしい(笑)) コロッケ著「マネる…

梶原しげる「うまく話せなくても生きていく方法」を読んで

私は雑談が下手である。 何かしら目的がない会話というのがとても苦手。 なんであの時、もっと面白いことが言えなかったのか? なんであの時、あんな余計なことを言ったのか? そんなことを思いながら、枕を濡らす。 そんなことを繰り返しながら、早二十余年…