山田将平の「新劇立志伝」

都内で俳優をやっている山田将平です。主に舞台、映画、読書の感想を書いています。もし宜しければご覧ください。

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2017-01-01から1年間の記事一覧

ステラ・アドラー「魂の演技レッスン22」を読んで

「俳優とは、精神の貴族です!二千年も続いている、高貴な職業よ!」 あの頃はシェイクスピアもイプセンもチェーホフもテネシー・ウィリアムズも分からなかった。 ステラ・アドラー著「魂の演技レッスン22」を読んだ。 二十世紀最大の俳優、マーロン・ブラン…

平田オリザ「対話のレッスン」読んで

「ねぇ、ロミオ、ロミオ、なんで、ロミオ的には、ロミオとかって、ロミオなの?私を好きになるみたいな、愛してるみたいな、好きだしぃみたいな、なんか、そんな系のことくらい言ってちゅーの。」 平田オリザ著「対話のレッスン」読んだ。 日本語には「対話…

浅利慶太「劇団四季メソッド『美しい日本語の話し方』」を読んで

初めて彼らの舞台を観たのは、高校時代の芸術鑑賞会。 「ライオンキング」 それを観て「でっけえ舞台だなあ。」と舞台美術のスゴさに驚いたっけ。 浅利慶太 著「劇団四季メソッド『美しい日本語の話し方』」を読んだ。 ジャンルの違う演劇人が書いた本。 別…

中野翠「小津ごのみ」を読んで

憧れの女性は? そう、聞かれたら外国人ならオードリー・ヒップバーンだが、日本人なら原節子だろう。 中野翠 著「小津ごのみ」を読了した。 ... ドンゴロスの世界。 私から観たら遠い昭和の家庭劇。 そう観えた小津安二郎監督の世界が実は当時はモダンで監…

「ムーミン谷の冬」を読んで

「どんなこと でも、自分で見つけ出さなきゃいけないものなのよ。そうして、自分ひとりで、それをのりこえるんだわ。」 「ムーミン谷の冬」を読了した。 いつも、冬になると冬眠をするムーミン一家。 ... しかし、ムーミントロールは目が覚めてしまった。 家…

獅子文六 「悦ちゃん」を読んで

文学座の創設者。 岩田豊雄のペンネーム、獅子文六。 獅子文六 作「悦ちゃん」を読了した。 ... 父子家庭で育つ十歳の悦ちゃん。 ママが欲しくて、銀座の百貨店で売子として働く鏡子さんに「ママになって」とお願いする。 しかし、パパの碌(ろく)さんは銀…

平田オリザ 「話し言葉の日本語」を読んで

「ヤマ場に音楽がガーンとかかったり、照明が変わったりスモークがたかれたりする。でも、これは決して新劇ではない。」 井上ひさし、平田オリザ 共著「話し言葉の日本語」を読了した。 日本語の話し方の教本と思い、手にした。 すると、有名な劇作家による…

重松清「なきむし姫」を読んで

「あんな会社、だーい嫌いっ!つぶれちゃえっ!」 観覧車のある街で暮らす家族。 小学校からの幼馴染の哲也と結婚し、二人の子供を授かったアキ。 しかし、哲也が神戸へ単身赴任することになった。 そこへ、同じく幼馴染でバツイチの健が引っ越してくる。 子…

江國香織「すきまのおともだち」を読んで

新聞記者の私。 旅をしていたら、道に迷い小さな女の子に出会う。 彼女の家にお邪魔するとお皿がしゃべり出す。 江國香織 作「すきまのおともだち」を読了した。 見慣れない街。豚のコックさんやネズミの靴屋さん。しゃべる風呂敷。 浜辺に行って、寒村に行…

北杜夫「船乗りクプクプの冒険」を読んで

ただの童話とバカにするなかれ。 宿題が嫌なタローは途中で童話を読み始める。 読んでいたら、タローは物語の世界に入り、物語の主人公クプクプになってしまう。 北杜夫「船乗りクプクプの冒険」を読んだ。 物語の中で、船員にいじめられ、ナマケモノの島、…

みうらじゅん「セックス・ドリンク・ロックンロール」を読んで

ノーマルな自分が嫌だ。 乾はロックな生き方に憧れる美大生。 パンク少女でヤリマンのユカリや仙人のような男、玉手と出会う。 みうらじゅん著「セックス・ドリンク・ロックンロール」を読了した。 美術大学という変わった大学にいるノーマルな自分。 自分を…

古今亭志ん生「びんぼう自慢」を読んで

なめくじが這いずる長屋。赤蛙やたんぽぽを食べる日々。 女房を働かせて、自分は呑む、打つ、買うの道楽三昧。 落語家、古今亭志ん生の自伝「びんぼう自慢」を読了した。 昔、読んだときは可愛気はあるが、なんて情けない人の話だと思った。 だが今読むと、…

東野英治郎「私の俳優修行」を読んで

元教師のうなだれる演技。 なんて、自然で心に響くんだろう。 小津安二郎監督、映画「秋刀魚の味」。 彼の演技、そして、テロップに出てくる「俳優座」の文字に憧れた。 東野英治郎 著「私の俳優修行」を読了した。 劇団俳優座の代表的俳優。 初代水戸黄門役…

平田オリザ「演劇のことば」を読んで

小劇場の演出家が描く、日本の演劇の歴史。 歌舞伎、新劇、アングラ、小劇場。 日本には大まかな流れとしてそういったものがある。 平田オリザ著「演劇のことば」を読了した。 この本は非常に分かりやすい。 今まで、新劇俳優になるために色々な演劇史の本を…

吉田日出子「女優になりたい」を読んで

「舞台の上でも自分のままでいたい、自分がいま生きることが、芝居のなかにも同じようにでてくればいいのに……」 吉田日出子 著「女優になりたい」を読了した。 俳優座養成所、文学座、そしてオンシアター自由劇場。 数々の舞台で活躍した女優。 吉田日出子さ…

映画「君の名は」を観て

「捻れて、絡まって、時には戻って、途切れて、また繋がり...それがむすび。それが時間」 映画「君の名は」を鑑賞した。 飛騨の田舎、糸守町。 その町に住む巫女であり、女子高生の三葉(みつは)は東京に住む男の子、瀧(たき)と寝ている間に、魂が入れ 替…

鴻上尚史「名セリフ!」を読んで

戯曲とは舞台用の台本のことである。 鴻上尚史 著「名セリフ!」を読了した。 この本は古今東西の名作戯曲を鴻上さんの目線で、分かりやすく解説された本である。 ... 日本の演劇の基礎を作った海外の劇作家、シェイクスピア、モリエール、イプセン、チェー…

映画「ラ・ラ・ランド」を観て

どうか乾杯を夢追い人に。 昨日、映画「ラ・ラ・ランド」を鑑賞した。 売れない女優のミアは売れないジャズピアニストのセブに出会う。 ... セブはジャズの店を持つ夢をミアに語る。 しかし、セブは夢の為に始めたバンドがやめられなくなる。 そんな時、ミア…

百田尚樹「雑談力」を読んで

「面白いとおかしいは違うのよ。」 この言葉が胸に刺さっている。 昔、研究所のある演出家さんに言われた。 面白いはその動作、言動によって意図的に笑わせること。 おかしいはその動作、言動が変だから笑われること。 そうか、ボクはおかしいんだ…。 よ〜し…

鴻上尚史「コミュニケィションのレッスン」を読んで

面白い人になりたい!! やはり、俳優の道を極めるにあたって、会話力は必要なのではないか? そう、思いあたり ...鴻上尚史 著「コミュニケィションのレッスン」を読了した。 まず、世間と社会の違いから話は始まる。 世間とはクラスのグループ、会社の同僚…