山田将平の「新劇立志伝」

都内で俳優をやっている山田将平です。主に舞台、映画、読書の感想を書いています。もし宜しければご覧ください。

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ザ・小町「明日になれば」を観て

「自分の人生は犠牲にしても、他人の人生を犠牲にしてはいけない」

ザ・小町「明日になれば」を観た。

ある兄妹が実家に帰って悩んでいる。

それぞれが婚約者を紹介するにあたって両親に秘密があるからだ。

その秘密を隠したまま、紹介しようとするが、対面当日やはり大ゲンカになる。

親の持つ価値観、子供の持つ価値観がぶつかり、結婚について深く考える。

結婚という一つのテーマをコミカルにかつ、すごい真剣に考えさせる作品だった。

家庭劇という一つのシチュエーションの芝居であれだけ笑いを誘う技術はすごかった。

所作、間、テンポ、どれもリアルで、まるで本当の家庭のドタバタを見ているようだった。

特に終盤の父親が隠していた秘密を語る場面では、それまで多くの笑いを誘っていたが、最後にグッと深い話に誘い込む。

観ていて心が温かくなる舞台だった。

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木村美月の企画「汎愛奇譚集」を観て

「私は上手に愛されたかった」

木村美月の企画「汎愛奇譚集」を観た。

短編の分け隔てない愛をテーマにした作品を2作品観た。

その中で『ある不器用な家族の冒険』がお気に入りだった。

弟が大人になっても親離れが出来ずに母親と2人で暮らしている。

そこへ、姉がやってきて、ふとしたことでケンカになる。

複雑な家族で過去のことに縛られながら、それぞれが悩みを抱えている。

そして、母親は幼い頃の自分の思い出に縛られている。

家族の愛の在り方。

親子の優しさの在り方。

一つの家族なのに、それぞれの想いがすれ違い、家族の歯車が複雑になっていく。

姉と弟のケンカの場面。

家族への想い、捉え方、愛され方、そうしたもののすれ違いの葛藤を互いがぶつけ合い、見応えのある舞台だった。

 

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TRASHMASTERS「掟」を観て

市長と市会議員。改革と保守。理屈と人情。

二つの考え方が合間見える。

TRASHMASTERS「掟」を観た。

架空の地方都市X市。そこで新しい若手市長が当選した。

その市長は市を改革するために奔走するが、議員たちの理解を得ることが出来ない。

強引な物言いで議員たちを怒らせ、議員の居眠りを追求し、新副市長の選出、大手企業の道の駅誘致。

そういった改革の殆どを市会議員に潰されてしまう。

そして、市長はメディアと市会議員の癒着を暴いたり、更に敵を作ってしまう。

お気に入りの場面は2つ。

1つ目は市長の反対派議員が市長に土下座して根回しをお願いする場面。

2つ目は市長が苦戦をして、弱音を吐いて応援してくれる議員と2人きりになる場面。

人間の生き方の難しさを表現しているように感じた。

人間は理屈だけでは生きていけない。いくら正しい理屈でも、人間には感情がある。

しかし、何かを守らないといけない。

その思いを両者が持っていて、そのぶつかりが人間を難しくする。

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